「子どもの過ごす環境を豊かにする」を目指す
成功体験が子どもの豊かな成長を促すという実体験を元に、子ども扱いしない子供服を提供する。
親と共に子どもの成長を促し、従業員の育成に尽力する教育者でもある。
親として仕事として、ファッションとしての子供服を
大阪で生まれ、京都の大学を卒業後、一時、アパレルの小売り業に就職後、起業を決意。当時、子供服は『どれも一緒に見えた。』『アパレルの中でキッズは取り残されている。』ならば、自分の子どものためにもなり、なおかつ商業としても隙間がいっぱいあると思い子供服ショップを18年前に大津で起業した。当時、70~90cmの乳児服は、ファンシーな服ばかりであったので、大人目線のファッションを子どもに提供するショップとした。お客様目線を大切にし続けるという意味で「エンドユーザー」と命名。設立当初は、メーカー製品のワッペンなどの装飾品を外してたようなシンプルなアイテムがお客様に喜んでいただけた。
京町家に出店
起業前に東京の表参道で古民家をリノベーションしたショップをみて以来、ずっと憧れていた。大津の店が落ち着いた頃、京都への出店を検討。堀川通りのこの店の周辺は、大学時代の土地勘があり、町中のような人混みでなく子連れで気軽に行きやすい。周辺環境も落ち着いており、分かりやすい場所であり、この界隈で店を探していた。15年前に、テナント募集中の看板を出している町家を見つけて、出店を決める。
店舗の改修は、気心の知れた、感性の合う建築士に依頼している。この店も開店以来15年間で4度に亘って順次リフォームを行ってきた。商品と空間のバランスが良く、表から中庭、離れと続く店は、表通の光と中庭の光が交わりシンプルで楽しい空間となっている。以降、2年に1店舗のペースで、京阪神に出店。全て、既存建築のリノベーションで8店舗を数える。アパレルは商品だけでは差別化は難しく、サービスと合わせて店構えで差別化を図っている。現在、商品の5割は自社オリジナル商品、残りはセレクト商品であり各店スタッフがお客様の目線に立って独自に品揃えをしている。デザイン、製造、小売り、通販、卸と業態を広げ、10年ほど前からは、レディースの商品も扱う。デザインは、大人目線の子供服の延長であり、布地や縫製の優しさは子供服を引き継ぐも、今後も品質向上に努めるとのこと。
時代に感性に合わせる従業員育成
細井さんのオリジナリティーは、お客様の感覚・ニーズに沿って経営していることだったが、徐々に今の世代のセンスと離れつつあると感じることから、店頭に立つ若い従業員に委ねることが増えている。その従業員構成もユニークで、1/3は一般の学校出身、1/3は幼児教育の学校出身1/3はデザインの学校出身である。デザイン出身の従業員には店頭に立ってお客様の求めているものと自らのスキルと摺り合わせをすることを求めている。
ニッチで有り続けるため、1ブランド、1地域1店舗とし、規模の追求はしない。そして、時代の感性に合わせると同時に従業員育成のため、店舗運営を従業員に委ねることを志向する。
子どもの成長を促すアパレルを目指して
子どもにとって、お店のキラキラした若い従業員と触れ合うことも楽しみであり沢山の刺激を受けて何かを感じる場となる。人と人とのコミュニケーションが出来、子供達の記憶に残る店になりたい。子供達は様々な体験を重ねることで少しずつ自信を持ち、精神的に豊かになると確信する。そのため、スタッフの経験、体験を豊かにしていく取組として、店舗運営を委ねる。子どもの成長を促すイベントも多彩である。夏休みに各店で最大4名程度、一日店長を体験し、商品券を給料として支払う「チッチャニア」の他に駅のポスター広告にモデルとして露出する「駅キッズ」(先日も「そうだ着倒れしに行こう」というテーマで京都市営地下鉄全駅で掲載)などを実施。現在、「ジロウ(児老)スナップ」と題して、お客様の中で、お洒落な祖父、祖母と孫がお洒落をして、ある場所に集まってもらってスナップを撮り、「一本、奥の細道」というHPサイトに掲載するイベントを企画中。
子供服にとどまらない大きな可能性を感じさせられた。