サーカスコーヒーは、築後100年の町家を改装して出来たスペシャルティコーヒー専門店です。

インドネシアの真珠養殖からサーカスコーヒーへ

現店舗の5軒隣で西陣の機織りの家に生まれ、子ども心に技術で身を立てることを意識する。大学の水産学科に入学し、就活する中で海外で活躍する真珠技術者の存在を知り、インドネシアで真珠養殖をする会社に入社。国内での技術研修の後、インドネシアに現地責任者として配属されたとたんにスハルト政権の崩壊、東ティモール紛争などが発生し、病気も煩ったことから帰国。たまたま面接したコーヒー会社で、工場新設に伴いブラジルに行けるかもという情報に接し面白そうだと思い入社。品質管理や研究開発の部署で5年間、コーヒーに関わるあらゆることを勉強する。さらに、消費者に直接コーヒーのことを伝えたという思いから大阪のカフェに転職。サステイナブルコーヒーを消費者に伝えたり、コーヒー講座を企画するなどやりがいのある仕事をし、経営も含めて多くを学ぶ。外食産業の長時間労働が子育ての問題を考えていたところ、今の店舗がてばなされるという話を聞き、独立を決意し、2011年にサーカスコーヒーを開業する。

<紫竹のランドマークとなるコーヒー豆販売店>

店舗は、北山通と大宮通の角にある町家で、かつては日本茶の販売を商う。主人にとっては実家に近く、子どもの頃生活して馴染みのある町家の風情が良く残る建物であり、奈良生まれの夫人にとっては、京都=町家というあこがれの存在であった。お洒落なコーヒー屋が多い中で、町家自体に存在感があり面白い店作りが出来るという思いもあり、職住共存が出来る町家を購入する。フランスの手芸雑貨店の直営店で働いていた夫人のデザインセンスなどにより、大規模な改修工事をすることなく、すてきなデザインの外観に生まれ変わり、地域のランドマークのお店となっている。

カフェではなくコーヒー豆の販売店「CIRCUS COFFEE」

コーヒー好きのお客様に、その方の求めている品質のコーヒーを丁寧に説明するお店を痛かった。カフェでは、そちらに手を取られることから、あえてコーヒー豆の販売店とする。主人は、世界中から選別したコーヒー豆を1954年ドイツ製の自慢の焙煎機で焙煎して、紫竹の味のコーヒー豆として提供する。

夫人は、ワクワクするようなパッケージや器のデザインを担当し、ただでさえ入りにくいコーヒーの専門店を入りやすくしている。
『サーカス』とは、「人が集まる」「人が集う」という意味をもつ『サークル』からの派生語。世代を超えて色々な人がお店に集まって欲しい、サーカスのコーヒーを買って帰って家族が集まってコーヒーを囲んで話をして欲しいという思いで、サーカスコーヒーと命名する。

コーヒーを通じて世界と繋がる

コーヒー豆は個人で世界中を歩いて生産者の信頼を得ているバイヤーの方から厳選されたものを仕入れる。コーヒー豆の生産者がきちんと生産できる環境が整えば美味しいコーヒーができる。美味しいコーヒーは高くても買ってもらえる。コーヒー豆を適正な値段で買うと、生産者がきちんと生産できるというサステイナブルコーヒーの世界を大切にすることがスペシャルティコーヒーに繋がる。コーヒーを飲むことを通じて環境や貧困など世界中で抱えている問題に関心を持ち、それを理解することで、コーヒーがより味わい深い飲み物となる。その役割の一端を担いたい。