北区紫竹にあるこの貴船神社は、鎌倉時代に蔵馬山麓の貴船神社の祭神である高龗神(たかおかみのかみ)を勧請して創建されたと伝わる。
高龗神(たかおかみのかみ)は水をつかさどる神で、降雨、止雨の信仰を集める。この地に勧請された理由は定かではないが、昔から暴れ川であった鴨川の水難除けを願ったとしても不思議ではない。
現在は、専従の宮司は不在の神社であるが、古くから上賀茂神社の荘園であった関係上、上賀茂神社の摂社として、上賀茂神社の神職が神事を勤めてきた。日常は、氏子域の八町内会が当番制で毎週日曜日の清掃活動などの維持管理を行っている。
近年、氏子の高齢化が進み、神社の維持管理が危ぶまれていたが、2018年の台風21号で倒壊した鳥居を建て直すための寄付を募ったところ、予想を超える200余りの個人、法人から250万円の浄財が集まり、鳥居だけでなく玉垣や扁額も新調することができたという。このことが、弾みとなって、参道に花壇が整備され、参拝者が増えるなどの好循環が生まれており、総代に若手を加えるなどの変化が生じている。
南向きか東向きの御神殿が多い中で、貴船神社の御神殿は北向きとなっており、不思議の一つです。