住宅街の中に突然現れる和菓子店

美味しそうなわらび餅のテント地看板が無ければ

新築住宅と見違える

祖母の店から

店主は大阪の生まれであるが、祖母が、今の店を東に新町通に出た角地で「いけだ老舗」という和菓子店を経営しており、子供のころから良く来ていた馴染みのある地域である。22歳の年から城陽の老舗和菓子店で20年ほど厳しい修業をした後、2014年3月に今宮通堀川西入の角地に和菓子の店を開業した。その店は手狭であり、城陽から通っていたこともあり、少し経営も安定してきた5年後の2019年秋に現在の店舗兼住居を新築して移転する。

新規開業する際には、伏見や一条寺の辺りも検討したが、実家が近くにあったこともあって、慣れ親しんだこの地域に最初の店を借りて開業する。そこは、いろいろな店が次々に替わって長続きしない店であったので、周囲にはいつまで続くかなと言われていた。最後にはよく続いているなと言われ、今の店に移転するときには栄転やなと送り出してもらった。

京都は新規に開業するには難しいところだと言われたが自分でやってみて実感する。しかも、和菓子の名店が多い京都での開業は苦労した。

新商品開発が続く

お店は洋菓子っぽい和菓子の店となっている。店構えも含めて、いわゆる和菓子屋らしくない。お茶会の主菓子は敷居が高く、市場も限られているのでその伝統は引き継ぎながら、新しい和菓子を創作している。

今の時期の売れ筋は、看板に出しているわらび餅である。

夏は、新作の「京のくずあそび」が良く売れた。アイスキャンディー状の創作和菓子で様々なフルーツに葛をまとわせて冷凍させたもので、シャリ感ももちもち感もある不思議な食感である。半解凍するとまた異なる食感が楽しめる和スイーツである。生菓子のような印象もありながら、冷凍して作り置きができ、賞味期限も長いので、お客様に喜ばれている。味もお子さんからお年寄りまで親しんでもらえ、雑誌にも取り上げられたりした。

その他にも和菓子のカヌレなども製造している。

近所の和菓子屋さんから次の段階へ

基本は、馴染みのお客様が来店いただける店であることだが、ネットを見てくる方もいる。その他に、マルシェなどのイベントに出て行って販売することもある。最近は百貨店のイベントに呼ばれることも増えてきている。また、京都の上場企業の社員の福利厚生の一環で社内に置かせていただいたりしている。商品のブランドイメージを上げていくためには出店する場所には気を使っているとのこと。

そうすると高級車に乗って買いに来ていただけるお客様も増えてきて、商圏も広がりつつ、お客様の単価も維持できている。

マルシェなどに出店すると若い女性のお客様が多く、いわゆる和菓子は売りにくいので、2~3年前から洋菓子感覚の和菓子の商品開発を進めている。和菓子は米と豆と砂糖だけでシンプルなだけに難しく、簡単には手を出せない商品である。そこに、洋菓子のテイストを入れると、よそにはない商品となり客層が広がって若い女性にも選んでいただけるようになる。

今後の和菓子いけだ

基本的には、今のお店だけで継続していく予定であるが、製造所はもう1か所、設けたいとのこと。現在は、ご夫婦と数名のパートの方とで切り盛りしておられる。お子さんが二人おられて、一人は洋菓子派で、もう一人は和菓子派とのことで、今のお店の商品構成に合っている。祖母から店主へ、そして、お子さんへと和菓子いけだの味が引き継がれていくことが期待される。

常に新商品を考えている。とりわけ百貨店への出店に際しては、常に新しいものが求められるので勉強は欠かせない。京の和菓子は、抽象であり、五感でイメージさせる。関東は具体的な形を作るが、京都ではそれは粋でないとのこと。和菓子いけだでも、そうした京菓子の象徴である茶席の主菓子もやっていたが、この界隈にはそういう老舗が多いので、京菓子の精神を引き継ぎながら、少し伝統から外した形の和菓子を考案しており、今後も今の路線を継続していく。そのため、しっかりと修業した技術に冷凍技術など新しい技術を取り入れて新しい和菓子の世界の模索が続く。

店舗情報

〒603-8174
京都市北区紫野下柳町48-3)

TEL: 075-495-9170  

定休日:日曜日(不定休あり)

営業時間:10:00~18:00

URL:https://wagashi-ikeda.jp/