
新大宮商店街に間口が広く、大きく明るいガラス戸の本屋さんができました
人と本を繋ぎ、人と場所を繋ぎ、人と人を繋ぎます
本が好きな人、雰囲気が好きな人
だれでも、気軽にお店に入り、楽しみながら人が繋がる
そんな本屋さんを目指しています
彩文堂

彩文堂は2025年12月27日にプレオープンしたコミュニティスペースです。本屋としてはオープンしているが、近々、カフェをオープンし、遠からず、ギャラリーをオープンしてグランドオープンとなる。場づくりとして始まったばかりのお店です。
彩文堂では、新刊本と古本を扱っている。大きな書店と異なり、トーハンや日本出版販売といった巨大な取次店を経由することなく、中小の取次店から本を買い取って販売するというスタイルをとっている。ZINE(自分の思いや表現を自由にまとめた個人制作の小冊子)や京都の出版社の本はご厚意で委託販売をしているとのこと。
置いている本は、最初は家族で選書し、その後、新刊が出るとチェックをして彩文堂の志向に沿うものを入れている。結果、五島家の本棚にあるような本が並び、本のセレクトショップのようになっている。


京都にはそうした本屋さんが多いと感じている。筆頭は恵文社さん、その他にもホホホ座さんや誠光社さんなど、個性が立っている。彩文堂は彩文堂としてキャラを立てていきたい。もし、彩文堂が合わなければ、その他の本屋さんを紹介する存在でありたいとのこと。
司書を目指す

店主は、これまで本屋を経営したことがなく、前職は、京都大学大学院社会疫学分野の研究室の秘書をしていて、そこで社会的処方に出会う。その前は、ご主人の転勤で2009年から2年間長野の安曇野に住んだ後、2011年から川崎に住む。元々は京都で生まれ育ち、転勤生活の前は京都から外に出たことがなかったとのこと。
ご主人は2019年に京都に転勤し、会社が準備してくれた住まいが上京区にあった。家族もその場所を気に入ったので、2020年に京都に転居してきた。
五島さんは、お子さんが生まれてから、ずっと夜寝る前に読み聞かせをしておられ、お子さんが幼稚園の時からに一度司書の資格を取りたいと思ったことがあったそうだが、当時は大学の通信教育を受けるに際して、2週間程度スクーリングに行かなければならなかったので、あきらめていた。けれども京都に戻ってきて京大の社会疫学の研究室で秘書の仕事をするうちに、まちの居場所づくりは大事だなと思うようになり、自分ができることはなんだろうと考えた時に、ずっと続けている読み聞かせボランティアを活かせる司書に辿り着く。その時、ちょうどお子さんが大学受験の時期でもあり、一緒に勉強することにした。コロナ禍で、オンラインで授業を受け、試験を受けることができることが分かったので、研究室に勤めながら、近畿大学の通信課程で半年かけて2023年2月に司書の資格を取得する。
司書から地域の場づくりへ
司書の資格を取得したので、本に関わる仕事をしたいと転職を考える。司書の資格を取得する過程で市立図書館に通うことが多くなり、京都の公共図書館は少し閉鎖的で、本を貸し借りするだけの場であるなと感じた。五島さんがやりたいこととは違うなと思い、公共の図書館で司書として働くことは選択肢から外すことになる。
もう少し違うことがしたいと思っている時に、研究室の先生から堀川商店街にknocks! Horikawa(子ども学びの場とまちのシェア型図書館が一つになってスペース)の3つの活動の一つに「みんなの図書館」という一箱本棚オーナー制の私設図書館があるということを教えていただいた。2023年10月のことであった。五島さんのやりたかったことに近いのではと思い、週に1回、店番をする形で活動に参加する。そして、やはり公共図書館の司書ではなく、本に関わりながら地域の場づくりもできるようなことをしたいと思うようになった。
ただ、knocks!をお手伝いする中で、誰でも来ていい場所を運営することは難しいことであることも学んだ。いろんな知識や人的なネットワークがないと、困りごとを抱えてこられる方に対応しきれない。素人がやると誤った情報を伝えることになるので、同じような私設図書館は難しいと感じた。また一方で、下のお子さんの大学受験も終わり、子育てを終えた自分たち夫婦のこれからの人生を考えた。そして、ご主人も本が好きなので、定年後に備えて本屋が良いのではないかと思うようになる。
そうであれば、図書館に特化した司書の知識だけでなく、出版、流通といった本に纏わる知識も必要だと思って、2024年8月からJPIC読書アドバイザー養成講座を受講する。そこで、本を取り巻く社会状況なども学び、出版不況であり、雑誌販売は激減したが、良い本は売れている事実も学ぶ。本は、儲かるビジネスではないが、老若男女、誰でも来ることができる場づくりのきっかけになることを確信する。
そこで、本を切掛けづくりの一つとしながら、カフェやギャラリーなどを併設し、二重、三重の価値を持つ場づくりを始めることとする。
この出版不況の折に無謀なことを…と仰る方もいらしたとのことですが、子育てを終えた五島さんご夫婦にとっては、二人で幸せに暮らすことだけで十分なので、今だったらチャレンジできると考えた。
人と人を結ぶ

カフェについては、本を読みながらコーヒーをゆっくりと読めるスペースであり、もともとご自身も好きなので、そういう場所がたくさんできると良いと思っている。
彩文堂では、大人向けの絵本やリトルプレスの書籍やZINEなどを置くなど、そういった書店とは置いている本を含めて棲み分けすることを意識しており、別のニーズを求めてこられた方には「大垣書店」や「めばえ」をお勧めしているとのこと。
持ってこられた本、ここで買った本を読みながらコーヒーをゆっくり楽しんでいただく。また、カフェはまだオープンしていないけれど、このお店におしゃべりだけをしに来られる方は結構いらっしゃる。そういう方には飲み物があればもっと良いのではないかと思っている。カフェを目当てに来られた方が、ここにある本を手に取って、気に入って買っていただくという流れがあっても良い。2026年3月にオープンの予定である。
まずは、本と人とを繋ぐ店であるが、ここに来られることで、この場所と人を繋ぐ、そこから、さらに、この店に来られる人と人が繋がっていく場所にしていくことを目指しておられる。そのための場所である。


ギャラリーに関しては、本と一緒で、ここに来るきっかけとなる存在と考えている。本だけでなく、絵や写真など文化は人間生活にとって大事な存在であり、それを発信できる場所にしていきたいとのこと。
さらには、本屋を継続していく経済的基盤としても、カフェやギャラリーは大切であるとも考えている。ただし、相互にウィンウィンの関係となるような本屋であり、カフェ、ギャラリーでなければならないとのこと。著者のトークイベントなどは積極的にやっていきながら、それ以外のものについては、利用規定を明確にしていく予定である。
ギャラリーは2階に整備する予定であるが、急な階段がネックとなっていると考えておられ、階段を含めた改修の費用対効果を考えながら、DIYでの改修も視野に入れながら来年度中のオープンを目指している。
むらさきエリアについて
2025年1月にお子さんたちに、本屋をやることを宣言したところ、娘さんが勤めておられたカフェのご主人にこの物件をご紹介していただく。ご主人は、この界隈に住んでおられて、界隈に文化的な施設が欲しいと思っておられたとのこと。一見して気に入った。近くに大垣書店や絵本カフェ めばえさんもあるが、五島さんのコンセプトとは異なっているので、支障は無いと判断して決められる。
それまでは、縁もゆかりもない場所であったが、昭和の看板建築の建物だけでなく商店街の風情も気に入っており、なにより大家さんが本好きな方で、本だけでなく本屋も好きでこれまでも日本全国の色々な本屋を巡られており、ご自身の物件が本屋になることをとても喜んでくださっていらっしゃるなど、いろいろなご縁があってこの店に決められた。

今では、だれもお客様が来られていないときに、この店から外の通りを歩いている方を眺めることや、この空間そのものが気に入っているので、皆様にもそう思っていただけたら良いなと思っておられる。
この地域には、それぞれ思いをもって活動されている方がいらっしゃるので、五島さん自身も、来店された方にご近所のお店をご紹介したり、コーヒーはサーカスコーヒーで仕入れたりと、ご近所とのつながりを大切にしていこうとしておられる。今後も緩やかにつながっていければよいと考えておられる。
今後の取組
2026年3月からはカフェをオープンの予定で、大学生の息子さんがお手伝いをされる予定とのこと。カフェのお菓子は、娘さんが製造されるなど、家族の協力を得て運営される。
近い将来には、ご夫婦でギャラリーを含めて切り盛りされることが視野に入っている。
また、紙や文房具が好きなので、本だけでなく紙に関連する商品なども置いていく予定をしておられる。手紙を書いたり、塗り絵をすること等も本との親和性が高い。
電子書籍やオーディブル、ネットショップの必要性を認めつつも、この店での本との出会いを大切にして頂きたいとのこと。そういう意味で彩文堂くらいの規模の本屋の方が、自分好みの本との出会いができるのではないかと考えている。引き続き、そうした方に見つけていただけるような本を選んで、お客様とのつながりを継続していきたいとのこと。
そうして、五島さんが描いておられた、本をきっかけとして、人と人が繋がる場づくりというご夫婦の第二の人生が始まることになる。
基本情報
■ 彩文堂
- 住所 〒603-8205 京都市北区紫竹西高輪町68番地
- 交通 京都市営バス「東高縄町」より下車徒歩6分
- 定休日 定休日:火曜日、水曜日、木曜日(最新情報はHPよりご確認ください)
- 営業時間 11:00~17:00(2026年4月以降金・土曜日は11:00~21:00の予定)(最新情報はHPよりご確認ください)
- URL https://www.instagram.com/saibundo_books/

