
新大宮商店街沿いの今宮通を少し下がると
京町家の1階にグリーングレーの木枠の
おしゃれなお店が目に飛び込む
虎の目洋菓子店の創業

虎の目洋菓子店は、2025年3月10日に西村さんの長年の夢を実現する形でオープンした。気さくでにこやかに迎えていただける西村さんご夫婦で経営されている。
実は、ご夫婦と娘さんの3人が寅年の生まれであることで名付けられた。西村さん曰く、虎視眈々という言葉もあるので、店名にされたとのこと。
内装もこの店を仲介してもらった「コトスタイル」に施工してもらったとのことで、お店のコンセプトにフィットするシンプルでモダンな内装で、センスが良くて入りやすい、この界隈の雰囲気に即した店舗デザインとなっている。
加えて、お店に立っておられる奥様だけでなくパティシエの西村さんの笑顔が素敵で、かわいらしい洋菓子とともに買い物を楽しくさせている。
西村雅孝氏の菓子作り
西村氏は元々は料理人になりたいと思っておられたので、高校卒業後、蹴上のウェスティン都ホテルのレストランに料理担当で就職したが、パティシエ部門に異動になり25歳まで務める。
そして、町の洋菓子専門店で修業し、さらに専門学校で洋菓子の講師を2年間務める。その後、日本をはじめ世界中でレストランを運営している会社に20年くらい勤務、2024年に退職する。いつかは独立をしようと思っておられたが、そのレストラン運営会社では、国内外いろいろなお店で技術指導やメニューの監修などを行って忙しくしておられ、充実もしておられた。さすがにこれ以上、遅くなると機会を逸すると思って独立をされた。フランスでは1年間くらい新設レストランのシェフパティシエとして勤務をしておられ、その他の地域では、2週間程度で日本と往復しながら指導をされていたので、世界中の洋菓子の研究をしてこられた。その中でもベトナムとフランスは印象深いとのこと。
新大宮商店街のこのお店を選ぶ

西村さんは大津市に居住されているので、大津市内でもお店を探すと同時に、京都でも地下鉄沿線で探しておられた。
そんな時に、たまたま知り合いであった新大宮商店街の「まごころサポート」の鈴木さんから「この辺りは結構いいところだよ」と紹介してもらっていた。そして、2年前ぐらいから、この界隈でお店を探し始め、本格的に探し出したのは、2024年の夏ぐらいとのこと。ちょうどその時に、むらさきスタイルプロジェクトのメンバーでもある十塚氏から、今の店が開いていると紹介してもらって見に来たら雰囲気が良かった。また、新大宮商店街の雰囲気も気に入っていた。
商店街としてのポテンシャルというよりも、閑静な住宅地で、住んでいる人が多そうだという評価をしておられ、人通りが少ないということに関しては気にはしておられなかった。そして、落ち着いた地域の中で落ち着いた商いができるのではないかと感じておられた。
当初は、中京区の人通りが多くてハイセンスなところも良いなと思って、中京区あたりで探していた。けれども、よく考えると、このお店の方が夫婦二人でお店を始める自分たちにしっくりとくると思い始めて、このお店にしようと決めかけた。けれども、先約があることがわかり、一度諦めかけるが、その方が辞退されましたという連絡が入り、「これは、縁がある」と思い、直ちに契約をする。
仲介も、内装施工もコトスタイルにお世話になった。実は、コトスタイルの代表は、この地域の鳳徳小学校の元PTA会長で、新大宮広間の設立に関与していただいた方である。鈴木さん、十塚さん、コトスタイルさん、このむらさきエリアの人たちとのご縁で、このお店が立地することとなった。
虎の目洋菓子店の個性


お店のオープンに際して、メニューの選定は吟味をされたとのこと。当初は冷蔵ケースを設置して生菓子もやるつもりでいたが、施工を始める前に焼菓子に絞ってやることとする。
一人で作っているので、あまりたくさんのことをやって、お店の雰囲気や洋菓子の味そのものが薄まっていくことを避けたかった。まずは小さく始めて、集中していきたかった。
けれども、焼菓子はどうしても地味になりやすいので、お客様にどうやって楽しんでいただけるかメニュー開発に際して、いろいろと考えておられるとのこと。
来店していただいたときに少しウキウキするような楽しい気分になっていただけることを目指している。決して値段も敷居も高い店にしたくなかった。お店に朝来てから菓子を作り、売切れたらお店を閉めるというスタイルでやっている。
例えば、今日、お客さんが来るので団子を買おうとか、今日、午後、団子を食べたい気分なので団子を買って帰ろうというように、気軽に寄っていただける店になれたらよいと考えている。節目、節目で買っていただくような贅沢なお菓子はイメージしていない。その日、その日のちょっとしたおやつとして買っていただけるようなお店にしていきたいとのこと。その上で、素敵だなとか楽しいなと思っていただけるお店にしたいとのこと。そして、コンビニで買えるお菓子プラス100円とか200円で買える価格帯を設定しておられる。加えて、季節感の感じられる洋菓子を提供していきたいとのこと。
その意図は十分に伝わるし、それは、この地域の雰囲気になじむコンセプトでもあると感じる。
開業から2か月、インスタグラム以外、積極的な情報発信は行っておられない。そのため、遠方から来られるお客さんは多くなく、ご近所の方に来ていただいているように感じておられる。
そういう意味では、西村さんの考えておられたお店のコンセプトに沿った展開となっている。見た目がワクワクするが、気取っていないお店の雰囲気が、この界隈の空気感にマッチしている。
お勧めはマドレーヌで、シュークリームも人気がある。取材中も買い物カートを押しながらシュークリームを買いに来られたお客様が、売切れと聞いてがっかりされ、次に必ず買い求めるため、開店時間を聞いて帰られた。 地域に根差し始めている。


基本情報
虎の目洋菓子店
【住所】京都市北区紫竹西高輪町1
【電話】075-491-0409
【営業時間】11:00~18:00
【定休日】不定休(毎月、インスタグラムで告知)