新大宮商店街の新大宮広間の斜向かいの路地の中にある
セルフリノベーションの魅力にあふれる
シックでビンテージ感のあるお店

店との出会い

店主は、生まれ育った長岡京市にあった大阪成蹊大学芸術学部の第1期生で、同級生が集まると、それぞれの特技を生かして建築のリノベーションはできてしまうという。

その店主の大学の同級生(山福ジャパン:吉田氏 以下同級生という)が、老朽化していたこの町家を借り、5年かけて仲間の協力を得ながら改修をした。3年ほど前から2階は書道家が事務所兼デザイン書道教室を、画家がアトリエとして間借りをしていた。

同級生は、元々この町家で飲食店を計画していたが、現在は三条の先斗町で飲食店を経営していて、店主も時々お客さんとしてその店に行っていた。そして、昨年、「独立して起業したい」という話をすると、この町家でやったらと紹介をしてもらい、開業することになる。

改修した友人が家主から借りているこの町家を2階は書道家と画家が借り、1階を店主が借りて飲食店を経営している。住まいは近くに構えている。

この店を最初に見たときに、すてきだなと思ったし、自分がイメージしている雰囲気と合っていた。

まちの印象

この界隈の第一印象を一言で言うと「ギュッ」としているとのこと。いっぱい人がいて、利便性も良くて、子供を持つ家庭の多いイメージがあった。住みやすいという印象である。

店の立地も商店街沿いよりも、今のお店のように路地の中が良かった。独立して始めてお店を持つにあたって、直ぐには店の経営に慣れないので、少しずつ成長していきたい。目立つところにあってお客様がどんどんと入ってこられるのではなく、少しずつ増えていって貰えるほうが有難いと思っていた。

加えて、すこし隠れ家っぽいところがあって、魅力的だった。周りが住宅ばかりの中に外観の面白いお店が突然現れると、印象的でお客様も気に入っていただけるのかなと思った。

店主は、長岡京市の出身であるが、父親が紫野の出身で、母親が京都御所の西辺り。この界隈には馴染みがあるとのこと。

最近、店の近くに引っ越し、名実ともにむらさきスタイルのレストランとなる。住みやすさも実感している。自転車でちょっと走れば何でもあり、銭湯も多い。5年ほど前に、船岡温泉の近くに1年くらい住んでいたことがあり、その時に銭湯も食堂も多いなと思っていた。昔の西陣織の職人向けの店や施設が多くて、それが今でも残り魅力的な町だなと感じている。

British Brunch 山荷葉の誕生

店主は、この店を開業するまでに、いろいろな仕事に就いてきたとのこと。元々、何でもやってみたい性格で一つに絞れないでいたが、料理に携わる仕事が多かった。その時、レシピを考え、食材を仕入れて提供するまで全部任されるということを何年も経験し、自分でも出来るのではないか、やってみたいと思い最終的には料理の仕事に就くことになる。

この店で開業することを決めたときには、どのような料理を提供するのかすら決めていなかった。当たり前にあるジャンルではなく、人がやっていないことをやりたい。既に人がっていることを真似しても楽しくない。被らず、なおかつ、魅力的なジャンルを模索していた。タイや台湾、インドネシアをはじめ、フランス料理、モロッコ料理まで考えたが、最終的にイギリス料理に落ち着くことになる。

イングリッシュパブであればフィッシュアンドチップスやミートパイなど食べられる場所は京都にも少なくないが、第一にお酒を飲むというイメージがある。そうではなく気軽にランチやブランチで食べられるイギリス料理屋やカフェはないなと思って始めることにした。

イギリス料理はおいしくないという話をよく聞くが、イギリスへ旅行で行った時に、どのレストランに入っても発見があり、目新しい食材にワクワクし、美味しかった。そして京都に住んでいるイギリス人の友人が、週に何回か家で手作りの料理を食べさせてくれていた。それが素朴で、素材の味を生かしながらシンプルで、すごく美味しかった。そういう感じを目指したいと思った事が決め手となった。また、カレーライスや肉じゃが、ビーフシチューなど日本でポピュラーな料理もイギリス起源のものも多くて、そういうところも魅力的だなと思っている。

できるだけ現地の味に近づけたいと思っているので、現在、教師をしているイギリス人の夫には、メニューの味見をしてOKを出す役割を担ってもらっている。夫は15年以上、合気道の修業をされており、店主も過去に夫の下で合気道の修業をし黒帯を取得している。そういうわけで、夫の存在もお店のテイストを作りあげる大きな要素となっている。

2022年の夏にこの店と出会ってからメニューを始めすべての準備を始め、2022年11月22日に開業する。先日、1周年の記念イベントが開催された。

お店のネーミングには悩んだ。決めきれず植物の名前を眺めていた時に、たまたま目に入ったのが山荷葉である。高山植物で小さな白い花が咲く。雨が当たると花弁が透明になる神秘的な花で、この店に入った時の裏庭に面した透明ガラスの建具越しの抜けた感じがイメージと合致したので決定した。

魅力的なリノベーション

この店のリノベーションは、基本的にはこの店の貸主でもある大学の同級生のセンスが詰まっており、床のコンクリート等も彼の仲間が集まって打っている。

そして、実際にお店を始めるにあたって、いろいろと手を加えてもらった。カウンターの幅を広げたり、棚を設置するだけでなく、食器や什器なども同級生の店でいらないものを譲ってもらったりしている。また、様々な相談に乗ってもらえるよき仲間であり、この世界の先輩でもある。

古い素材や、ペンキ、タイルを上手に使って、シャビーな雰囲気を出しながら、京町家の雰囲気も残している。とりわけ、お店に入った正面の庭に面した建具は、掃き出しの全面ガラス戸で、お店に入って直ぐに庭が見える空間が美しい。

店主も庭づくりに取り組んでおり、イングリッシュガーデンと和風の庭の折衷的な庭を目指している。3年後には難波薔薇の花が咲く庭となる予定である。

店の成長

この1年は、1歳のお子さんのお世話のこともあり、夕方4時までの営業としており、まだまだ認知度が低いと感じている。今は、グーグルマップで検索して、目的地の近くにあるBritish Brunch 山荷葉を見つけて、こんなところにお店があると言って来られる方が多い。あとはインスタグラムを見てこられるお客さんが多い。けれども、そういったツールを利用しない方にはなかなか知って頂けない。

やはり、ご近所の方に日常使いのお店としてたくさん来てほしい。そのため夜の営業も検討していきたいと思っている。

また、飲食営業だけでは退屈するので、イベントなどもどんどんやっていきたいと考えている。1周年記念のイベントでは、ゲスト出演を依頼した。たまたま知り合った、語り部(古典怪談)の方である。講演依頼のあった土地の歴史、資料を調べて話の中に組み込む人気のある方で北区に纏わる古典怪談をやってもらった。さらに、店主の友人であるミュージシャンにも出演を依頼し、ご近所にも配慮しながら、アコースティックなスタイルでやってもらい、皆さんに喜んでもらえた。

まだまだ、いろいろとやってみたいことが沢山ある店主さん。むらさきスタイルの担い手として活躍が期待される。