上賀茂神社近くの鴨川沿いに立地する自然派美容室ikuri

モッコウバラに包まれた優しい外観がikuriらしい

かおり氏に替わってパートナーの好弘氏にお話を伺った

ikuriが目指すところ

ikuriは、完全個室の自然派美容室として30年後のお客様の髪と頭皮と素肌と身体を健康に保つお手伝いをしている。心身ともにリラックスさせる天然木に包まれた空間、ヘアケア・スキンケア・ヘルスケア・ボディーケア・メンタルケアなどを可能にしたトータルビューティーサロンです。さらに、自然食品を使用したカフェも運営している。

好弘氏は語る「人間は自然の一部であり、自然のものが身体に合う。自然が破壊されると人間にとって住みにくい環境になるので、自然環境を守る、壊さない。そういう人間と自然の関係性が持続するように経営し、美容を楽しんでいただく美容室を目指している」

人間は生きている限り、どうしても自然を破壊(消費)してしまうが、極力、その破壊を再生可能な範囲にとどめていくために自然との循環が可能なヘアケア・コスメを使用している。そうしたヘアケア・コスメは、土や水の中で分解されて自然に帰っていく。当然、人間にもやさしい。

ikuriの始まり

髪染めカラー材やパーマ液、シャンプーなどで手の荒れている美容師が多いが、それらを身体にやさしいものに変えていくと美容師も手があれなくなったというかおり氏の修業時代の体験が、全ての始まりであった。当然のことだが、美容師にやさしいということはお客様にもやさしいので、お奨めしている。例えば、妊婦さんには、お母さんの意向よりもお腹の赤ちゃんにやさしいものをお奨めしている。お客様の求めるクオリティーに沿いながら、身体へのリスクとのバランスを図りながらご提案をしている。

2001年、前夫の郁民氏と北山でお店を始めた時からの取組であり、生分解性に優れた「人と地球にやさしい」ヘアケア・コスメを導入した。

第1号店は、御園橋通の大宮を少し下がったあたりの古い建物を宮大工に改装してもらった。大工さんの提案で、当時から自然素材の内装で席数の少ない個室の美容室としたが、お客様には大変に好評であった。

かおり氏が岐阜県、郁民氏が鳥取県のご出身であったが、二人で独立する際に、お店を出すのなら世界の京都でということで、諸条件が整った大宮のお店で開業することになった。

そして、3年後に今の鴨川沿いの建物と出会う。お客様のご親族の持ち物で、ikuriならということで譲ってもらった。自然が豊かで隣の家と接していないということが、ikuriのコンセプトにぴったりだった。東側は鴨川で、南側はお土居で、その向こうに加茂川中学校、お土居に植わっている大木の樹齢は600年ほどではないかとのこと。

郁民氏の死を超えて

好事魔多し、賀茂川店の出店の3年後に郁民氏は脳腫癌を発症する。その治療に際して、何で身体が出来上がっているのか等、食事に関する勉強を始める。その時、分子整合医学(自然療法医学)と出会い、病気を未然に予防する生活習慣、食事(ビタミン・ミネラル・酵素)、ミネラルファスティング(酵素断食)を体験して、その素晴らしさに触れる。美容にとっても健康な髪でないと良いカラーリングやスタイリングができないので、分子整合医学で少しでも健康に、細胞から元気なれる美容の追及を始める。

好弘氏との出会い

好弘氏は、ヨガをやっていたこともあり、菜食主義についても学んでいて、かおり氏と意気投合する。

もともと、美術の勉強をしていたので、そのアイデアが欲しくてヨガやメディテーションの勉強をしていた。その頃にかおり氏と出会う。美術は自己満足感の強い世界であると葛藤する思いがあったが、妻と知り合うことで美容師という仕事にチャレンジしてもよいかなと思うようになった。自己満足ではなく、リアルなお客様相手の世界にシフトした。アートのアイデアが欲しくてメディテーションをするといことは、結構苦しい世界だった。

先輩の紹介で、4年程、特別支援学校で勤務した後、もう少し、美術の世界を勉強したいと思ってお金を貯めて、インドやネパールにヨガの勉強に行った。ヨガばかりやっていたら技術が身につかないので、ネパールにあるチベット式の仏画を勉強すると同時に、仏教の勉強をした。ヨガも哲学の世界なので、そういったことを勉強してきたことが今の仕事に生きていると思う。

2019年のLu Cocon ikuri賀茂川店の改修に際して飲食業の営業許可が取れたので、カフェの営業ができるようになり、健康な食事の提供もできるスタイルに変わった。それまでは、どんな食事が良いかとかミネラルの働きなどの提案をするだけだったのが、実際に食事を提供できるようになった。スタッフも同じ食事を採り、知識だけでなく実感としてお客様と接することができるようになり、健康にもなっていった。

なるべく動物性のたんぱく質や脂肪を採らない。SOS(シュガー、オイル、ソルト)を採らなかったり、控えたりする。野性的な食事が人間の身体に合っているという発想である。調理しないで食事をすることが一番望ましい。なるべくそういうものを提供している。食材の全てをいただくというホールフードという発想で、一番良いのはサラダである。玄米や豆類は、どうしても火を通して調理しなければいけないので、サラダをたくさん食べるようにしている。ギリシア語だったと記憶しているがサラダは薬という意味だそうだ。動脈硬化の原因となるプラークも、こうした食事を継続すると取れていく。もともと血管の内側の壁(内皮)からは、プラークをくっつけないようにする物質が出ているが、動物性のたんぱく質や脂肪を採っていると内皮が壊れて、この物質が出なくなって、プラークが溜まる。サラダを中心とする食事を採ると内皮が修復され、異物を排除する物質が出るようになり、プラークがとれる。

カフェの運営

ikuriでは、ヘナ染めという草木染をしているので、一般的なヘアダイだと30分程度で染まるが、草木染は置けば置くほど染まるので、時間がかかる。お客様によっては1時間、1時間半置きたいという方もおられるので、その間に食事を採っていただいたりしている。もちろんカフェ利用だけのお客様も来られる。

3度目の改修

2019年の改修は、Lu Cocon ikuriの3度目の改修となる。その改修が終わると同時にコロナの感染が広がり、個室にして各室に大きな窓を設けたことで、お客様に安心してもらえた

2度目の改修の際には、各個室をドーム型の土壁でつくったので面白かったが、3度目は、天然木の内装とした。やはり、人間と植物、有機物同士、天然は相性が良いのかなと思えてくる。ビニールクロスと違って、吸湿性があるので、身体の感覚も楽で心地よい。耐震改修もその際行った。妻の父も、郁民さんのお父さんも建築系のお仕事をされていたので、改修もいろいろとアイデアを出しながら楽しんでおこなった。

個室なので、お客様とプライベートなお話もできるので、ヘアスタイルも、お客様の家庭環境などに合わせて提案することができる。町中の忙しい時間の過ごし方でない時間の過ごし方がより実感できる。

2階は、スパの部屋を設けており、以前のドーム型の土壁の雰囲気を残している。お客様にリラックスして頂いている。特に、窓から真正面に比叡山が見える部屋は、人気がある。

今後のikuri

地球環境ありきだと思っており、その中でできることをやらせていただく。これまでは、特に太平洋戦争後は、自然破壊の時代であり、そのひずみがいろいろな場面で出てきている。夫婦ともに田舎の出身で、自然が身近だと心も身体も喜ぶ。道理としても環境が豊かだからこそ、我々が豊かに生活できる。これまでは物質的な豊かさを追求してきたが、本当は精神の豊かさの方が大事なのではないかと確信している。

妻はシンプルでお客様に喜んでもらうことをやるだけと言っている。直感的に判断している。

一時、3店舗経営をしていたが、スタッフの退職などで、2019年の段階でLu Cocon ikuriに全部集約した。そのとたんにコロナの感染爆発となり、タイミングは良かったと思っている。スタッフも定着率が高く、退職があれば新規の補充はする程度で、長期の勤務者が多い。長女もスタッフになって3年目で、次女も一緒にやるといっているので、頑張らなくてはいけない。