技をつなぐ、時代をつなぐ
日本文化は、支援と人間の技との調和によって生み出されてきました。
「漆芸」は日本の風土から生まれ、そこに住む人々のために培われてきた技術です。
40年間に亘る技の習得と伝承
大阪で生まれた清川氏は若くして漆芸技能を修得し、1977年から社寺所蔵の文化財修復から始まり、美術館や教会など全国各地で文化財修復を手掛けて多くの経験を積み、漆芸を始め、金継ぎなど多種多様な技能を蓄積する。
1977年からは、全国各地の文化財(障壁画、建築物)の漆芸、修復技法などの産学共同調査にも参加し、今日まで継続し、日本文化の中での漆芸、修復技能の位置付けの確立に大きな貢献をしている。さらに、近年は漆工芸教室、金継ぎ教室などを開講し、技の伝承にも取り組み、2018年には、東京にも教室を開設した。
修復作業を通じた多様な技能の修得による 日本文化の体現
修復作業の対象は、建築に始まり仏像、陶磁器、ガラス器、アンティーク家具、古美術品など社寺仏閣から美術館及びその所蔵品などの文化財まで多岐にわたる。このための修復技能は、漆器の割れ、欠けを埋めて、さらに漆を塗り、金箔、蒔絵、色漆を施すなど多岐にわたる。金継ぎにおいても、対象は陶磁器からガラス器まで多岐にわたり、麦漆による破片の接着、刻苧漆による欠けの埋め、錆漆による凸凹の埋めから金粉撒きまで多くの工程、技能を要求される。さらには、仏像、建築物の欠けや割れの修復と金箔貼りによる修復などである。こうした技能の修得を通じて、新しく作った物が年月を経て劣化し、それを大切に修復する精神文化、その際の美意識、その際の自然素材の活用など、あらゆる日本文化のエッセンスを感じ取って今日がある。
日本文化の伝承の旅
蓄積してきた技能と日本文化の精神性を伝承するため、多様な取り組みにチャッレンジを始めてきている。
まず、各種教室と体験である。2014年には、京都の工房で金継ぎ教室を開催し、さらには漆芸教室も開講した。いずれも、金継ぎあるいはオリジナル漆器が出来るまで幾度となく教室に通います。さらに、1日金箔体験なども行い、漆芸の入り口としている。
2018年には、東京教室を開講し、お客様が持参された品を修復し逸品として蘇らせる取り組みを行い、漆芸を通じた日本文化の伝承に取り組んでいる。また、京都文化力プロジェクト認証事業として、これまでの取り組みを書籍にまとめたり、講演をして、伝承に努めている。