不動産会社がはじめたコミュニティサロン

ふらっと立ち寄れるカフェを中心に

地域のたまり場として今日も賑わっています

TAMARIBAが目指すこと

北大路堀川の交差点を西に進むと、開放的な外観のTAMARIBAが見えてくる。

2014年1月にオープンしたコミュニティサロンであり、施設内にはイベント等に利用できるセミナーホール、ヘアサロン、そしてカフェが入っている。運営母体は、株式会社フラットエージェンシーである。今回は、カフェ部門の店長の大前裕美さんと、フラットエージェンシー会長で、TAMARIBAの生みの親である吉田光一さんにお話を伺った。

2024年で創業50年を迎える不動産会社が、なぜTAMARIBAを始めるに至ったのか。

会長の吉田さんは、京都市地域の空き家相談員として、市役所や区役所で不動産の活用について相談を受けてきた。「わかりやすく説明してもらえてよかった」と反響がある一方、「不動産屋さんには入りづらい」との声が多かった。目的がないと入りづらいと言われる不動産会社が、どうすれば気軽に集まれる空間になるか。アイディアを出し合ううちに、カフェ、ヘアサロン、ギャラリーと構想が膨らんでいった。そして、フロアの一角に住まいの相談コーナーを設けた。

パティシエの資格を持ち、不動産営業にも精通したフラットエージェンシーのベテラン社員が、カフェ運営を担いながら、不動産の相談に応じることとした。カフェ目的で来店したお客様との雑談から不動産の相談につながるのである。入りづらいという課題解決の取り組みが新たなビジネスにつながった。吉田会長は常に課題を発見し、その課題を解決していくことを使命として不動産ビジネスに取り組んでおり、このカフェも課題解決策からスタートした。

リニューアルオープン

2014年以降、コミュニティサロンとして浸透してきたTAMARIBA。2023年6月に、リニューアルオープンをした。リニューアルの目的は食と交流拠点としての機能をさらに深めること。食では健康を考えた旬の野菜が盛りだくさんのメニューの導入。交流では、地域活動にさらに力入れ、地域食堂を開催していく。そのため、カフェの改装に力を入れ、キッチンの規模を拡大すると共に、内装も大きく改装し、より交流し易い空間とした。

リニューアルオープンまでの準備期間は、メニュー開発、新たな仕入先ルートの開拓など課題は山積みだった。提携先は農家だけも5件。知り合いを通じて訪問したという。野菜は低農薬の栽培をしている農家さんから仕入れている。カフェで出た抽出後のコーヒー粉を肥料として提供し、その肥料で育った野菜を仕入れるという循環型の取引を行っている農家さんもある。

リニューアルオープンをした後は、リニューアル前から来店していたお客様に加え、新たなお客様も増えたという。以前からのお客様は綺麗になったことを喜んでくれた。様々な活動を通じてつながった人たちの口コミで広がった新たなお客様も大勢いる。

フラットエージェンシーでは健康経営への取り組みを行っており、その一環で健康的なメニューを提供する社員食堂の機能を担っている。これは、吉田会長の強い思いから生まれている。フラットエージェンシーのスタッフはカフェメニューを社員割引価格で利用できるようになったため、一般のお客様に交じってスタッフがカフェを利用することもあり、社員とお客様との円滑な交流が図れている。

地域食堂への思い

リニューアルオープンの理由のひとつである地域食堂の開催は、大前さんの強い思いから生まれている。

大前さんは、カフェふらっと+ベジの店長になる前、保育園で働いていた。保育園の保護者との話や、自身の地元でもある北区で暮らしている体感から、核家族世帯が増え、地域交流が減っていると感じたそうだ。地域交流が減ってきたことにより、子育てをするお母さんが相談や話をする機会がなくなり、そのことが子どもたちによくない影響を与える一因にもなっていると考えている。助け合える人が周りにいるのに助け合えていない。そこでTAMARIBAで地域食堂を行いたいと考えるようになった。最初に開催した地域食堂は2023年7月。リニューアルオープンしてすぐ開催をした。

最初はゆくゆく開催できたら、と考えていたが、周りから「いつやるの?」「やるなら手伝う」という声を受け、急遽7月の開催を決めたという。地域食堂は初回から盛況でたくさんの人が参加した。老若男女問わず参加できる。子どもたちはもちろん、高齢者の方が一人で立ち寄り、面識がない人達が席を並べて、話をしながら共に食事をする。また、ボランティアとして参加している方々もいる。様々な人の思いが集まって、大前さんが思い描いていた地域交流が実現しつつあるようだ。

コミュニティサロンとして

今後の展望についてお伺いすると、お二人から多くの構想をお話いただいた。お二人ともそろって、この場所はなんでもできる場所だと語る。

大きな軸としては、コミュニティサロンとしての役割を果たすことが挙げられた。

現在、すでに地域の方が気軽に集えるカフェとして、定着しているが、さらに多くの方に集まってもらい、交流の場としていきたいとのことである。地域交流が希薄になりつつあるこの時代だからこそ、交流の場が必要になってくる。知らない者同士で座っても交流できるような店にしていきたい。地域食堂でその目標は達成されつつあるが、ゆくゆくは通常のカフェ営業でもそのような雰囲気にしていきたいと言う。

また、高齢者の方が地域と交流できる場も必要だと考え、一緒に作って一緒に食べるシニア食堂の開催も考案中とのこと。

今後も地域の交流拠点として、さらなる活動の広がりが期待される。

基本情報

■カフェふらっと+ベジ(TAMARIBA内)

  • 住所   〒603-8165 京都市北区紫野西御所田町16-2
  • 電話   075-431-5105
  • 交通   京都市バス「北大路堀川」(南側)よりすぐ
  • 定休日  日曜・祝日定休、不定休有(最新情報はHPよりご確認ください)
  • 営業時間 8:30~16:00(LO 15:30)(最新情報はHPよりご確認ください)
  • URL   https://tamariba-kyoto.com/