
洛北の地に週末だけ開かれる古道具の店
プロダクトデザイナーの若者3人の感性が光ります
2階はデザインスタジオで古道具に学んだ
建築空間からプロダクトまで新たに生み出されます
ものや とは
デザインスタジオと古道具屋の二つの軸で活動する「ものや」さん。
デザインスタジオでは、家具やプロダクトの設計・企画、ディレクション、ブランディングなどを幅広く手がけています。 一方、古道具の方では、国内各地から集めた品々を週末の金・土・日に販売。1階が古道具店、2階がデザインスタジオとして活用されています。


ものやの成り立ち
代表の櫻井氏を中心に、吉田氏・田村氏の3名で運営。いずれも大学でプロダクトデザインを学びました。
特に櫻井氏と吉田氏は、京都工芸繊維大学 建築デザイン学部で同じゼミに所属し、2018年、大学4年生の時に一条寺で古道具店をオープンしました。
もともとは建築分野に惹かれて大学へ進学しましたが、学ぶうちに、より人の暮らしや日常に近いスケールでのデザインに関心を持つようになりました。大きな構造物ではなく、手に触れ、日々使うもののデザインに深く向き合いたいという想いが強くなっていったのです。幸い、大学のシステム上で専攻を選択できたため、それぞれが自分の関心をもとにプロダクトデザイン専攻へと進みました。
創業当初から「デザインスタジオと古道具の店を両立する」という構想がありました。新しいものを生み出すには、既に存在するものから学ぶことが欠かせない。そうした考えから、古道具の店は“学びと発想の場”として位置づけられています。
その後、コロナ禍を経て一度店を閉じざるを得ませんでしたが、2020年夏に現在の店舗と出会い、セルフリノベーションを経て秋に再スタートを切りました。
デザインの分野に関わりながらも、より幅広い人や価値観に触れたいという思いがありました。同じ業界だけで完結するのではなく、接客やものづくりなど、人との関わりが日常的に生まれる場を持ちたかった。その意味で、店を営むことは、自分たちの表現を社会に開く大切な手段だったのです。
「ものや」の立地
特定の地域を狙っていたわけではなく、一条寺の店舗から新たな環境に移ることを目指していました。スタッフ全員が京都出身ではないため、学生時代の生活圏から少し離れた、落ち着きのある場所を探しました。現在の地域は、静かで穏やかさがあり、自然と気持ちが安らぐ雰囲気に惹かれ、ここを選びました。
一条寺時代は啓文社ビルの地下にお店を構えていました。表に出した小さな看板を見て訪れるお客様も多く、思いがけない出会いがありましたが、店がとても小さく、入れる人数に限りがあったため、訪れる方々の目的もさまざまでした。もっと「ものや」を目指して訪ねてくださる方々と丁寧に関わりたいと考え、今の場所へ移転することにしました。結果として、今の店舗では滞在時間が長く、じっくりと商品を見ながら会話を楽しむお客様が増えています。
道具の仕入れ
仕入れは市場や伝手を通じて行われ、全国各地から集まります。
特定の時代や様式にこだわるのではなく、「面白い」「心惹かれる」と感じたものを大切に選んでいます。
そうした感覚を信じて集めた道具が、「ものや」の空間を形づくっています。
「ものや」の建築観
近年は建築関連の仕事にも携わり、企画やディレクションの立場で関わる機会が増えています。
学生時代に感じていた建築への距離感は、今では多様な建築家たちとの出会いを通して、より広く柔らかいものになりました。京都には町家改修を手がける建築家も多く、家具や空間、しつらいとの関係を大切にする姿勢に共感しています。
古道具を集める行為が創作の源泉となり、デザインの発想を生む。
そのため、「ものや」ではデザインスタジオと古道具店、どちらも同じ熱量で取り組んでいます。
単に設計を行う時代ではなく、町や人と関わりながら自分たちの活動を開いていくことが重要だと考えています。



むらさきエリアについて
この地域は、特別に派手な特徴があるわけではありませんが、その“ちょうどよさ”が魅力です。ご近所の方々とも自然に関係が築け、日常の中に穏やかな交流があります。子どもたちの声が聞こえる通学路の風景も、あたり前のようでいて心が和む。大きなビルが立ち並ぶわけではありませんが、「普通にいい」と思えるものが日常にある。そのバランスがとても心地よいと感じています。
これからの「ものや」
僕らの歩みは一般的なキャリアとは少し違うかもしれません。
けれども、大学時代から始めたこのお店が、地域の子どもたちの記憶のどこかに残り、いつか思い出してもらえるような存在であれば嬉しいです。
京都に拠点を置くことにも意義を感じています。
同級生の多くは東京に出ましたが、デザインや建築が多様な価値観を重視する時代になりつつある今、京都という土地でゆっくりと根を張って活動することは大きな強みになると考えています。
「ものや」は、古道具とデザインという二つの軸を通して、人と人、地域と外との“ハブ”になりたい。
若手のクリエイターを紹介したり、京都を訪れた人に町の情報を伝えたり、逆に京都の人たちに外の世界を紹介したり。そんなつながりを生む存在として、これからも活動を続けていきたいと思っています。
基本情報
■ものや
- 住 所 〒603-8412 京都市北区紫竹下竹殿町16
- 交通 京都市バス「下竹殿町」より徒歩1分
- 営業時間 金・土・日(13時~18時)
- URL https://www.studiomonoya.com/

